ホームヘルパーとして長く働いていると、
現場で働くには体がきつくなってきたかも…
ということや、
現場以外にも経験してキャリアを積んでみたいけど、どうしようかな?
と、感じる人は少なくありません。
筆者は、現場10年目で「いずれ体力が衰えて現場はきつくなるな」と感じ、現場以外でも活躍できるようにしたいと思いました。
この記事を読んでくださっているあなたも、少なからず同じような思いを抱いているのではないでしょうか?
そこで今回は、ホームヘルパーのキャリアアップ(マネジメント編)を紹介します。
- ホームヘルパー歴5年以上の人
- 現場での仕事に限界を感じている人
結論から言うと、現場以外で利用者と長期的に関わる仕事は相談業務一択です。
ホームヘルパーからのキャリアアップということで、障害者支援に限らず高齢者介護も視野に入れて解説していきます。
ある程度経験を積んだ先のキャリアで迷っていたり考えたりしている方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 介護業界20年、現役の居宅介護事業所管理者 兼 相談支援専門員が執筆。
- 持っている資格:ホームヘルパー2級、介護福祉士、ケアマネジャー、相談支援専門員
- 介護業界で面接を担当した人数は150名以上
- 介護業界で転職を3回経験
では早速、本文へGO!
障害者支援におけるケアマネジメント
障害福祉サービスに関する相談業務を相談支援といいます。
相談支援にはいくつかの種類があります。
え、なんか複雑⁉
うんうん、そう思うよね。
でもそんなに種類があるわけじゃないから、一緒に理解していこう。
相談支援をもっと詳しく知りたい→(仮)よくわかる相談支援(記事作成中)
相談支援事業の種類
複雑に見える相談支援事業の体系だけど、押さえておきたい種類はたった3つだよ。
- 地域相談支援
- 計画相談支援
- 障害児相談支援
上記3種類の相談支援の役割を簡単に説明していきます。
地域相談支援
地域相談支援は、入所施設や病院、矯正施設からの退所・退院する方を対象とし、その後の地域生活がスムーズに送れるよう支援します。
支援内容は以下の2点です。
①「地域移行支援」(支給決定期間:6か月)
入所施設や精神科病院等からの退所・退院にあたって支援を要する方に対し、入所施設や精神科病院等における地域移行の取組と連携しつつ、地域移行に向けた支援です。新しい家を一緒に探したり、外出に同行したり、関係機関との調整などを行います。
②「地域定着支援」(支給決定期間:12か月)
入所施設や精神科病院から退所・退院した方、家族との同居から一人暮らしに移行した方、地域生活が不安定な方等に対し、地域生活を継続していくための支援です。緊急時の支援体制を整えたり、トラブルの対応を支援するなど安心して暮らし続けるためのサポートをします。
計画相談支援
計画相談支援は、障害者の自立した生活を支え、障害者の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けてケアマネジメントによる支援をします。
支援内容は以下の2点です。
①「サービス利用支援」
障害福祉サービスを申請した障害者、地域相談支援を申請した障害者であって市町村がサービス等利用計画案の提出を求めた方が対象です。その対象者に対して課題の解決や適切なサービス利用に向けて、サービス種類などを記載した「サービス等利用計画案」を作成し、支給決定後にサービス事業者等と連絡調整の上「サービス等利用計画」を作成します。
②「継続サービス利用支援」
支給決定期間内の一定期間ごとに、サービス等利用計画が適切かどうかモニタリングを行って「サービス等利用計画」の見直しなどの支援をします。モニタリングや担当者会議が主な業務です。
障害児相談支援
障害児相談支援の業務内容は計画相談支援と同じですが、対象者が異なります。
計画相談支援の対象者は18歳以上、障害児相談支援の対象者は18歳未満です。
しかし計画相談支援が障害福祉サービスの申請に伴う相談支援であるのに対し、障害児相談支援は通所支援の申請に伴う相談支援になります。
支援内容は以下の2点です。
①「障害児支援利用援助」
障害児通所支援の申請に係る支給決定前に障害児支援利用計画案を作成し、支給決定後にサービス事業者等との連絡調整等を行うとともに障害児支援利用計画の作成を行います。
②「継続障害児支援利用援助」
支給決定されたサービス等の利用状況の検証(モニタリング)を行い、サービス事業者等との連絡調整などを行います。
どんなお仕事?
相談支援専門員の仕事内容を簡単に説明します。
障害を持つ方からの相談に応じるとともに、障害を持つ方が心身の状況に応じた適切なサービスを受けられるようサービス利用等計画書の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行います。
具体的な業務の流れは以下の通りです。
利用者本人やご家族と最初に行う面談です。
ここでは相談支援専門員の役割を伝え、相手の悩みや困りごとなどを聞き取ります。
信頼関係を築いていく第一歩の面談で、しっかりと相手に寄り添えるようにします。
利用者のニーズに応じた障害福祉サービスを提供するために、利用者の情報を入手するステップです。
利用者本人の心身の状況はもちろん、ご家族の希望や医療の情報も入手します。
アセスメントの内容を基に、サービス利用等計画書の原案を作成します。
サービス利用等計画書には障害区分等の情報の他、本人とご家族のニーズ、支援方針、短期・長期目標、利用するサービスの種類等を記載します。
実際に支援を担当する事業所の選定や連絡・調整を行います。
事業所が決定したら、サービス担当者会議を開催します。
利用者本人、ご家族、各事業所の責任者に参加してもらいサービス利用等計画書の原案の内容や情報の共有をします。
それぞれのコミュニケーションが円滑になるように取りまとめるのも相談支援専門員の役割です。
サービス担当者会議での内容を踏まえて、サービス利用等計画書を完成させます。
完成したサービス利用等計画書を利用者に提示し、最終的な同意を得ます。
サービスが開始されたら、サービスの実施状況や利用者のニーズの変化などを確認するために利用者宅や事業所に訪問します。
必要に応じてサービス利用等計画書の更新や再アセスメントを行います。
具体的には上記のような業務がメインとなりますが、他にも業務があります。
- 障害福祉サービス受給者証更新の代行申請
- 給付管理業務
- 装具や車いす作成のサポート
- その他、苦情対応や事業所との連絡など
思ったよりやることが多いんだね。
余談だけど、実はセルフプランといって相談支援専門員でなくても、利用者やご家族で計画書を作成し、自治体に提出してもOKなんだ。
それじゃあなんで相談支援専門員がいるの?
利用者やご家族だけで計画書を作成するのはかなりハードルが高いよ。
でも現状、相談支援専門員の数が足りなくてやむを得ずセルフプランにしている方もいるんだ。
なるほど!じゃあこれからどんどん仕事が増える可能性があるってわけだね!
その通り!
僕は現役相談支援専門員なんだけど、担当人数が手一杯で問い合わせに対応できない状況なんだよね…
セルフプランで利用者やご家族が自らサービス事業所を探していることも少なくありません。
ぜひ相談支援専門員の資格を取得して、新たなキャリアを築いていきましょう。
やっぱり資格が必要なのね~
でも試験はないから安心して(笑)
それでは相談支援の資格取得方法を説明していきま~す。
資格の取得方法
相談支援事業に携わるためには、相談支援専門員という資格が必要です。
相談支援専門員になるには試験を受ける必要はなく、指定の実務要件を満たしてから研修を受けることで資格を取ることができます。
指定の要件は以下の通りです。
また、以下の表のように必要な実務経験は従事している業務によって異なります。
業務の範囲 | 業務内容 | 実務経験年数 |
---|---|---|
相談支援事業所 | ・医療機関において相談支援業務に従事する者で、次のいずれかに該当する者 (1)社会福祉主事任用資格を有する者 (2)訪問介護員2級以上に相当する研修を修了した者 (3)国家資格等※2を有する者 (4)施設等における相談支援業務に従事した期間が1年以上である者 ・就労支援に関する相談支援の業務に従事する者 ・特別支援教育における進路相談・教育相談の業務に従事する者 ・その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事する者 | ・施設等において相談支援業務に従事する者※15年以上 |
介護等業務 | ・施設及び医療機関等において介護業務に従事する者 ・その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事する者 | 10年以上 |
有資格者等 | ・上記②の介護等業務に従事する者で、次のいずれかに該当する者 (1)社会福祉主事任用資格を有する者 (2)訪問介護員2級以上に相当する研修を修了した者 (3)保育士 (4)児童指導員任用資格者 ・上記①の相談支援業務及び上記②の介護等業務に従事する者で、国家資格等※2による業 務に5年以上従事している者 | 3年以上 | 5年以上
※2国家資格等:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む。)、精神保健福祉士。
以上の実務経験を満たし、「相談支援従事者初任者研修」を受講することで資格を取得できます。
相談支援従事者初任者研修の実施は都道府県が主体となって行っており、実施要綱も自治体によって異なります。
詳細は「相談支援初任者研修 〇〇」(〇〇は各都道府県名)で都道府県のHPから確認できます。
ちなみに筆者の勤務する事業所の自治体は千葉県ですので、一例としてリンクを貼っておきます。
ぜひ参考にしてください。
続いて、相談支援従事者初任者研修を修了した方がどのような職場で働くことができるのかを紹介します。
働く場所
相談支援専門員として働くことができる職場は以下の4か所です。
- 一般相談支援事業所(地域相談支援)
- 特定相談支援事業所(計画相談支援)
- 障害児相談支援事業所(障害児相談支援)
- 基幹相談支援センター
相談支援の種類によって事業所は異なります。
居宅介護事業所では主として特定相談支援事業、障害児相談支援事業を併設しているところが多いです。
自身の勤務する居宅介護事業所で相談支援事業を併設しているのであれば、そのまま相談支援専門員として働くことができるでしょう。
地域における相談支援の中核的な役割を担い、障害を持つ方の総合的な相談窓口として設置されています。
相談内容に応じて、地域の相談支援事業所を紹介することもあります。
逆に相談支援事業所から対応が困難なケースを請け負うこともあります。
また、障害者の権利擁護と虐待防止、相談支援専門員の育成といった役割もあります。
現場とは違った知識や経験を身につけることができる、とてもやりがいのあるお仕事なんだ。
続いて、高齢者のケアマネジメントを紹介します。
高齢者介護におけるケアマネジメント
高齢者介護のケアマネジメントは、介護支援専門員が担います。
ケアマネジャーだよね!
そうそう、いわゆる「ケアマネさん」ね。
まずはどんなお仕事なのかを紹介するね。
どんなお仕事?
まずはケアマネジャーの仕事内容を簡単に説明します。
ケアマネジャーは、「要介護者や要支援者が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有する者として介護支援専門員証の交付を受けた者」と、位置づけられています。
要介護者や要支援者からの相談に応じるとともに、要介護者や要支援者が心身の状況に応じた適切なサービスを受けられるようケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行います。
なるほど。ケアマネさんがケアプランを立ててサービスが始まるってわけね。
具体的にどのようにケアプランが作られるのか、
ケアマネジャーの業務の流れを紹介するよ。
利用者本人やご家族と最初に行う面談です。
ここではケアマネジャーの役割を伝え、相手の悩みや困りごとなどを聞き取ります。
信頼関係を築いていく第一歩の面談で、しっかりと相手に寄り添えるようにします。
利用者のニーズに応じた介護サービスを提供するために、利用者の情報を入手するステップです。
利用者本人の心身の状況はもちろん、ご家族の希望や医療の情報も入手します。
アセスメントの内容を基に、ケアプランの原案を作成します。
ケアプランには介護区分等の情報の他、本人とご家族のニーズ、支援方針、短期・長期目標、利用するサービスの種類等を記載します。
実際に介護サービスを担当する事業所の選定や連絡・調整を行います。
事業所が決定したら、サービス担当者会議を開催します。
利用者本人、ご家族、各事業所の責任者に参加してもらいケアプランの原案の内容や情報の共有をします。
それぞれのコミュニケーションが円滑になるように取りまとめるのもケアマネジャーの役割です。
サービス担当者会議での内容を踏まえて、ケアプランを完成させます。
完成したケアプランを利用者に提示し、最終的な同意を得ます。
サービスが開始されたら、サービスの実施状況や利用者のニーズの変化などを確認するために利用者宅や事業所に訪問します。
必要に応じてケアプランの更新や再アセスメントを行います。
ケアマネさん、責任重大だね。
もちろん責任は大きいけど、その分やりがいはあるよ。
ケアマネジャーの業務は上記以外にもあるんだ。
- 介護保険更新者の代行申請
- 要介護認定の委託調査(認定調査員研修の修了者のみ)
- 給付管理業務
- サービス提供票の作成
- その他、苦情対応や事業所との連絡など
やることいっぱいじゃん!
だよね~。
タスク管理スキルも必要になってくるね。
そうなんだね~。
ところでケアマネジャーをやるには資格が必要なんだよね?
介護支援専門員(ケアマネジャー)という資格が必要だよ。
資格の取得方法
ケアマネジャーの資格を取るためには、試験に合格する必要があります。
また、試験を受けるための受験資格も満たす必要があります。
受験資格
ケアマネの試験を受けるためには、以下の①または②のどちらかを満たす必要があります。
- ①特定の国家資格を保有している
-
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士のいずれかを保有し、これらの国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上であれば受験資格を得られます。
- ②介護施設などで相談援助業務などに従事している
-
上記の国家資格を保有していない場合でも、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、受験資格に定められる相談援助業務に通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数があれば、受験資格が与えられます。
※各都道府県において若干異なる場合があるため、受験資格の詳細は受験地の担当部署に確認が必要です。
試験要項
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)は年に1回実施されており、例年10月の中旬~下旬頃に行われています。
受験申込期間は6月上旬頃から1ヵ月程度です。
申込期間や受験手数料は都道府県によって異なりますので、受験する各都道府県の試験要項を早い段階で確認しておくようにしましょう。
試験に合格した人には実務研修の案内が通知され、試験翌年に実務研修が実施されます。
研修を修了し、介護支援専門員資格登録簿へ登録すると、晴れてケアマネジャーになることができます。
- 各県健康福祉センター(保健所)
- 各市町村介護保険担当課
- 各市町村社会福祉協議会
など
毎年どのくらい合格しているの?
だいたい20%前後の合格率だよ。
試験の費用は都道府県によって違っていて、約8,000~14,000円といったところだね。
よーし決めた!頑張って勉強してみようと思う!
【まとめ】ホームヘルパーのキャリアアップ【ケアマネジメント】
今回はホームヘルパーのキャリアアップ(ケアマネジメント編)を紹介しました。
内容を簡単にまとめます。
相談支援専門員
- 相談支援の種類は主に3つ
-
- 地域相談支援(地域移行支援、地域定着支援)
- 計画相談支援(サービス利用支援、継続サービス利用支援)
- 障害児相談支援(障害児支援利用援助、継続障害児支援利用援助)
- 相談支援の仕事内容
-
障害を持つ方からの相談に応じるとともに、障害を持つ方が心身の状況に応じた適切なサービスを受けられるようサービス利用等計画書の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う。
- 相談支援の業務フロー
-
- インテーク
- アセスメント
- サービス利用等計画書の原案作成
- サービス担当者会議
- サービス利用等計画書の完成・利用者の同意を得る
- モニタリング
- 相談支援専門員の資格要件
ケアマネジャー
- ケアマネジャーの仕事内容
-
要介護者や要支援者からの相談に応じるとともに、要介護者や要支援者が心身の状況に応じた適切なサービスを受けられるようケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う。
- ケアマネジャーの業務フロー
-
- インテーク
- アセスメント
- ケアプランの原案作成
- サービス担当者会議
- ケアプランの完成・利用者の同意を得る
- モニタリング
- ケアマネジャーの受験資格
-
「特定の国家資格を保有している」もしくは「介護施設などで相談援助業務などに従事している」
なおかつ上記を通算5年以上および900日以上の従事日数が必要。
- ケアマネジャー試験の要項
-
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)は年に1回実施されており、例年10月の中旬~下旬頃に行われている。
受験申込期間は6月上旬頃から1ヵ月程度。
申込期間や受験手数料は都道府県によって異なるため、受験する各都道府県の試験要項を早い段階で確認しておく。
試験に合格した人には実務研修の案内が通知され、試験翌年に実務研修が実施される。
研修を修了し、介護支援専門員資格登録簿へ登録すると、晴れてケアマネジャーになることができる。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
キャリアアップのために勉強しよ!
と、思っていただけたら幸いです。
では、また!
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