またやらかしたかも…
私って介護の仕事に向いてないのかな?
どうしたの?
訪問先の利用者のご家族から「やり方が悪い」「向いてない」って言われちゃった…
いろいろ言われちゃったんだね。
つくづく向いてないのかなって思っちゃった。
言われてへこむ気持ちもわかるよ。
でも向いてるかどうかって、誰がどうやって判断するの?
果たして利用者やそのご家族が判断することなのかな?
そういえば、真面目に考えたことはないかな~
それじゃあ今回は、そのことについて解説していこうかな。
というわけで、今回は介護の仕事に向いているかどうかを、キャリアパスを用いて解説していきたいと思います。
キャリアパスの解説の後に、介護の仕事に向いてるかどうかの判断についてお話します。
この記事を読んでいただくことで、
- 自分は訪問介護の仕事に向いているのか?
- 訪問介護の仕事に必要なスキル
が、わかります。
ぜひ最後までご覧ください。
- これから訪問介護の仕事を始めようと思っている人
- 訪問介護の仕事でミスをして落ち込んでいる人
ぜひ最後まで読んていただき、介護の仕事に役立ててください。
- 介護業界20年、現役の居宅介護事業所管理者 兼 相談支援専門員が執筆。
- 持っている資格:ホームヘルパー2級、介護福祉士、ケアマネジャー、相談支援専門員
- 介護業界で面接を担当した人数は150名以上
- 介護業界で転職を3回経験
それでは早速、本文へGO!
キャリアパスってなに?
ってかさあ、キャリアパスってなに?
キャリアパスというのはね…
キャリアは「職位」、パスは「道」を意味しています。つまり、最終的な目標に向かって進んでいく道筋を示すものをキャリアパスといいます。
しかし単なる仕事の職歴だけではなく、「組織の中でどのような経験を積むのか?」「どのようなスキルを身につければ目標に到達するのか?」という指標を示すものでもあります。
目標を立てるのは大切だよね!
たぶん実際に見てもらった方がわかりやすいかな。
僕が勤務する法人のキャリアパスを紹介するよ。
介護の仕事のキャリアパスを紹介
それでは、筆者が勤務する法人のキャリアパスを紹介していきます。
法人によって違いがあるから、一例として見てね。
1年~2年目のキャリアパス
まずは、入社1年~2年で達成したい目標を示したキャリアパスを紹介します。
以下の項目を、5段階で評価します。
事業倫理とコンプライアンス
企業理念、使命、経営方針を把握している |
運営規程等諸規定を把握している |
会社の組織構造を理解している |
各事業所の機能、職員の役割分担などを理解している |
職業倫理を把握している (守秘義務、個人情報保護、情報開示、人権擁護、虐待防止) |
事業所の運営手順、諸書類の内容を理解している |
筆者の勤める法人では、複数の事業所(生活介護、居宅介護、地域活動支援センター)を運営しているため、それぞれの役割や事業内容も理解する必要があります。
また、それらの組織構造も把握しておくことが必須となっています。
その他職業倫理や運営規定など、入社後のオリエンテーションで伝えたことの理解を求められます。
職業人としての社会的責任と基本的なマナー
他者に不快を感じさせない衛生面と身だしなみ |
自分から進んで笑顔で挨拶をする |
相手を尊重・感謝し立場に適した言動をとる |
心身の健康、自己管理に留意する |
時間厳守、遅れる場合の対処ができる |
公私混同は行わない |
社会人としての基本的なマナーと最低限の責任を評価する項目になっています。
挨拶や遅刻の対応など、他者を不快にさせない配慮がポイントです。
チームコミュニケーション
自己の権限の範囲を理解し、適切に上司に報告・連絡・相談を行っている |
チームの目標達成や効率化のために他メンバーと連携・協力しながら行う |
上司の指示や指導に沿った行動をとっている |
チーム内における他職員との友好な人間関係を構築している |
他部署との業務上の連携の重要性を理解している |
サービス提供のため必要に応じて他部署と連絡を取りながら業務を遂行している |
会社、事業所の会議などに参加している |
チームの在り方や連携の重要性の理解を問う内容です。
介護の仕事はチームコミュニケーションが欠かせないため、とても重要な項目です。
トラブルへの対応
「ハット」としたことを意識に挙げ、報告書を作成することができる |
過去のサービス上のトラブルと対応策を理解している |
緊急・救急時の対応(他者の指示を仰ぐ、家族への報告を含む)を理解している |
どの利用者にどのような感染症があるかを理解し、対応ができる |
拘束に関わる背景、問題点を理解し安全な配慮が行うことができる |
事故が起きた場合上司に報告するとともにその対応策を考えられる |
自分で対処できない利用者からの相談、苦情を上司に挙げ指示のものに対応できる |
ヒヤリハットは、単に報告書を書けるだけでなく気づくことも必要です。
他の項目より少しレベルが高い内容ですが、ここまでを1年~2年でマスターできればOKです。
以上が1年~2年目にかけて身につけて欲しいスキルだよ。
達成して欲しい目標と言い換えてもいいかもね。
こんな風に言語化してくれると、今の自分は何ができて何ができないかわかりやすいね。
続いて、勤続3年程度のキャリアパスを紹介します。
3年目のキャリアパス
3年目になると、キャリアパスも少しレベルの高いものになります。
目標設定
会社、事業所の目標・方針へ自らのゴールを適合、コミットしている |
自らの段階的、具体的目標達成に向けての学習や自己研鑽を行っている |
達成度合いのチェックをし、プロセスなどを検証し次の目標設定に生かしている |
目標達成が困難な場合は、上司の助言を得ながら軌道修正を行っている |
与えられた役割は、最後までやり抜く |
自分の中でも目標設定をし、会社の目標とすり合わせていくことが求められます。
つまり、会社の利益のために何ができるかを求められるということです。
利用者の理解・対応
障害の特性に応じた対応ができる |
利用者のニーズ、思いを理解し場の雰囲気にあった振る舞いができる |
利用者の基本情報を収集し、把握、理解する |
基本情報の不明・疑問点はしかるべき人に確認する |
アセスメントを行い課題、問題点を抽出し、目標設定、対応策を決定できる |
決められたサービス内容を決められた手順で行うことができる |
利用者自身および取り巻く環境の変化に気づくことができる |
変化に対応したサービスを提供し、関係部署と内容を共有できる |
利用者、家族より相談されやすい雰囲気づくりができる |
相談内容を上司、相談支援員へ報告できる |
利用者の理解、気づき、ご家族とのコミュニケーションなどの重要性を示しています。
問題提起など、リーダーになる準備期間という見方もできる内容ですね。
外部連携
担当者会議に出席し、利用者の状況報告や問題提起ができる |
事業所の近隣地域住民との挨拶ができる |
外部との連携についてや、会社の名前を背負っているかどうかという内容になっています。
挨拶は大事だよね!
介護施設は近隣住民があまり良く思っていない場合があるんだ。
だからなおさら、大切ってわけ。
以上が3年目のキャリアパスです。
前述しましたが、次世代のリーダーを育成する評価基準になっています。
これらの項目を満たせるように仕事に励むことで、仮に転職したとしても即戦力になり得るスキルを身につけることができます。
続いては、5年目以降のキャリアパスを紹介します。
5年目以降のキャリアパス
5年目以降はリーダーや管理職としての評価基準になっています。
リーダーシップ
職員レベル、キャリアプランに応じて育成計画を立て指導している |
実技、コミュニケーションの取り方について具体的に現場で指導している |
現場で指導した内容の振り返りを別の時間で行っている |
職員の気づき、問題解決能力を引き出すコーチングで臨んでいる |
研修会、事例検討会議などを定期的開催している |
現場での問題解決、業務改善のための働きかけをしている |
職員面談を行い、要望、悩みを聞き取り、把握・助言している |
職員心身の調子を把握するよう努めている |
シフト表を組むことができる |
リーダーや管理職には、スタッフの育成や職場の環境を良くすることが求められます。
いかに仕事を面白くしスタッフを成長させるかが、リーダーの腕の見せ所ですね。
地域包括ケア
サービスの進捗状況を他事業所に情報提供している |
利用者の利用している制度・資源・サービスの把握している |
利用者からの相談・問題点をもとにサービスの提案、提供ができる |
他職種・専門職の会議に参加している |
関連する他団体にはどのような専門職がいるか把握している |
事例検討などの研修会(懇親会を含む)に参加している |
ネットワークづくりの会議への参加している |
ここでは、地域にどんな社会資源があるのかを理解し、横のつながりを作っていくことが求められています。
どちらかというとケアマネジメントに近い内容になっています。
介護が必要な状態でも住み慣れた地域で自立した生活を送れることをモットーに、包括的にみることができるかどうかの評価基準です。
急に難しくなったね!
そうだね。でも、ケアマネや相談支援専門員に頼りきりな介護職にならないようにしようってことだよね。
最後に、キャリアパスがあるとどんな良いことがあるのかを解説して本記事を終わります。
キャリアパスのメリット・デメリット
前述した通り、キャリアパスとは目標に向けての道筋を示すものです。
ここでは、キャリアパスがあることで得られるメリットと、デメリットを解説していきます。
見極めるポイントも解説していきますので、ぜひ読み進めてください。
メリット | デメリット |
---|---|
何をすれば組織の利益につながるが分かる どんなスキルをいつまでに身につけたらいいか分かる どんなスキルを身につければ昇給するのか分かる 目標が明確になることで意欲的になれる | キャリアパスを満たしていても出世できない 視野が狭くなる可能性がある |
キャリアパスのデメリット
キャリアパスのデメリットの原因は、従業員ではなく組織側に問題があります。
キャリアパスを満たしていても出世できない
小規模な組織にあることですが、ポストの枠が空いていないことがあります。
介護職でいうと、一般介護職→サービス提供責任者(サービス管理責任者)→管理者といった出世コースがあります。
小規模の組織の場合、上記のそれぞれのポストに就ける人数が非常に少ないため、なかなかポストが空かない状況になりがちです。
視野が狭くなる可能性がある
キャリアパスを示すということは、それ以外の知識や経験に関心が無くなる可能性があります。
その結果広い分野の経験が乏しくなってしまい、転職や独立の際の足かせになってしまいます。
せっかくスキルを身につけてもキャリアアップできなかったら悲しいね…
だからこそ働く側は、それをカバーできるキャリアパスが設定されているかどうかを見極めなきゃいけないんだ。
- キャリアを一本に絞っていないか
- 様々な視点でのスキルアップができるか
- ポストや昇給の説明があるか
まず、出世コースが一本道になっていないかどうかがポイントです。
前述したように、一本道だとポストが空いていないことがあります。
介護の仕事には、直接的な介護だけでなく相談業務やマネジメント、事務などの仕事もあります。
キャリアによって身につけるスキルも異なるので、多くのキャリアアップやスキルアップの道筋が示されていることがポイントです。
そして、スキルを身につけたり資格を取得したら所定のポストに就ける、昇給するといった具体的な説明を受けているかどうかが大切です。
やっぱり昇給するとモチベーション高まるよね!
モチベーションももちろんだし、いくら昇給するのか分かっていれば人生計画を立てやすいってのもあるね。
キャリアパスのメリット
組織に属して仕事をする上で、その組織の利益を考えることは必須であることは言うまでもありません。
介護業界は社会保障というこもあり、お金にクローズアップすることは少ないでしょう。
しかし社会貢献や、より多くの利用者への価値提供、そして多くの人々の役に立つにはお金が必要です。
そのために「会社の利益になるには何をすべきか」を示すもの、それがキャリアパスです。
キャリアパスを意識して仕事をすることで会社に貢献し、自身のスキルアップにもつながるのです。
目標がハッキリしてると仕事がやりやすいよね!
もちろん、介護のキャリアパスは会社の利益のことだけでなく利用者への対応や知識についてもしっかりと示されています。
利用者の役に立つ→社会貢献できる→会社の利益になる→より多くの利用者の役に立つことができる
会社というのは単純に言ってしまえば上記の繰り返しです。
この循環を円滑にするのがキャリアパスの役割なのです。
介護の仕事に向いてる?向いてない?
ひと通りキャリパスについて説明したけど、まだ介護の仕事に向いてないと思う?
キャリアパスについては分かったけどさ。
まだ自分ではどうなのか判断できないかな…
向いてないと思ったのは、利用者からのクレームだったよね。
じゃあ、クレームを受けた時の対応をキャリアパスに照らし合わせて考えてみたらどうかな?
照らし合わせてみると…?
それじゃあ、クレームに関連するキャリアパスをおさらいするよ。
キャリアパスを確認してみよう
自己の権限の範囲を理解し、適切に上司に報告・連絡・相談を行っている |
チームの目標達成や効率化のために他メンバーと連携・協力しながら行う |
上司の指示や指導に沿った行動をとっている |
チーム内における他職員との友好な人間関係を構築している |
他部署との業務上の連携の重要性を理解している |
サービス提供のため必要に応じて他部署と連絡を取りながら業務を遂行している |
会社、事業所の会議などに参加している |
まず、この中でできていなかった部分はあるかな?
言われてみると、チームっていう意識はあまり無かったかな…
基本的にホームヘルプはチームで行っています。
ひとりの利用者に対して複数のスタッフが個別に関わっているため、スタッフによってサービスの質に差が出ることがあります。
「Aさんは〇〇をやってくれたのにBさんはやってくれない」
多くの場合、このような状態になっています。
これは、ヘルパーが何をどこまでやるかをチームで共有できていないということです。
言われてみると細かいところまで話し合いはしてなかったよ…
そうなんだね。
それじゃ、これはどうかな?
障害の特性に応じた対応ができる |
利用者のニーズ、思いを理解し場の雰囲気にあった振る舞いができる |
利用者の基本情報を収集し、把握、理解する |
基本情報の不明・疑問点はしかるべき人に確認する |
アセスメントを行い課題、問題点を抽出し、目標設定、対応策を決定できる |
決められたサービス内容を決められた手順で行うことができる |
利用者自身および取り巻く環境の変化に気づくことができる |
変化に対応したサービスを提供し、関係部署と内容を共有できる |
利用者、家族より相談されやすい雰囲気づくりができる |
相談内容を上司、相談支援員へ報告できる |
できてることもあるし、できてないこともあるかな。
障害の特性もまだまだ知らないことがあるし、利用者のニーズや思いも深くは掘り下げて理解してなかったかもしれないな…
なるほどね。
照らし合わせてみて、どう感じた?
正直なところ、クレームはイチャモンだって感じてた…
でも、自分ができていないことがまだあったんだって思ったよ…
いいね!
そう思えたなら、落ち込んでいる暇はないよね?
そうだね!
まずはキャリアパスをクリアできるように頑張るしかないよね!
ホームヘルパーとして働いていると、クレームは少なからずあります。
それをイチャモンとして捉えるか、真摯に受け止めて対応するか、どちらが成長につながるかは明白ですよね。
まずはキャリアパスを確認して、それができていたかどうかを判断しましょう。
できていない部分があればできるようにし、利用者の満足を得られるようにしていきましょう。
それで、まだ向いてないって思う?
いや、もう大丈夫!
明日からまた頑張れるよ!
良かった良かった。
万事解決だね。
…て、おっと忘れてた。
最後に、訪問介護の仕事に向いているかどうかの判断基準を説明します。
訪問介護の仕事に向いている人、向いてない人
これまでの解説を総括すると、訪問介護の仕事に向いている人と向いてない人は次の通りです。
向いている人 | 向いてない人 |
---|---|
ミスやクレームがあったときに、真摯に受け止めて対応できる人 利用者のニーズや思いを理解しようとできる人 協調性のある人 | キャリアパスを無視して独自の介護観で突っ走る人 自身の価値観を利用者や他のスタッフに押し付ける人 他責思考の人 協調性のない人 |
向いてない人、なんの仕事にも向いてなさそう!
ホントそうだよね。
やっぱり対等の関係を作るってそういうことなんだと思うよ。
キャリアパスにそういうことも盛り込まれているのが理想だね。
\そもそも「うちの会社、キャリアパスすら無いよ」というあなた/
その会社、大丈夫ですか?人材を大切にしていますか?
もし「やばいかも」と思ったら、転職をオススメします。
他の業態や会社で、いろいろな経験を積むのも一つの道です。
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本記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が、あなたの介護職人生のお役に立てれば幸いです。
では、また!
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