介護の現場で働いている方、こんな経験はありませんか?
この事業所のやり方はなんか違う気がするな…
他のスタッフとの人間関係がうまくいかないなあ…
気配りが上手だったり周りが見えている人ほど、このような思いを抱くものです。
ミーティングや会議で解決できれば良いのですが、そうならないパターンも多くあります。
そこで今回は、介護職の転職についてお伝えしたいと思います。
- 今の職場に不満を持っている人
- 転職を考えている人
上記に当てはまる人にとって有益な記事ですので、ぜひ最後までご覧ください。
- こんな時は転職を早まるな
- こんな時は転職した方がいい
- 転職するメリット・デメリット
- 介護業界20年、現役の居宅介護事業所管理者 兼 相談支援専門員が執筆。
- 持っている資格:ホームヘルパー2級、介護福祉士、ケアマネジャー、相談支援専門員
- 介護業界で面接を担当した人数は150名以上
- 介護業界で転職を3回経験
転職するデメリット
まずは、転職するデメリットからお伝えします。
以下の理由による転職は、特に介護業界ではデメリットの方が大きいです。
- 40代以上の転職はきつい
- 人間関係を再構築する必要がある
- 転職活動に時間をを割く必要がある
40代以上の転職はきつい
転職で有利なのは30代までと思っておこう。
え!なんで!?
- 体力を使うから
- 賃金が高くなるから
- 求められる能力のハードルが上がるから
転職したばかりの時は、とにかく現場の経験が必要です。
今までいくら現場で働いていたからといって、その職場の利用者を理解できていなければ仕事になりません。
現場の仕事は、直接的な介助を含めて体を使う仕事がほとんどです。
体を使うということは、当然ながら体力が必要です。
40代で現場でバリバリ働くのは正直きついと、筆者は感じています。
また、年齢が上がるにつれて希望する給料の水準も高くなる傾向にあります。
雇用する側にとっては、40代以上での中途採用は敬遠しがちです。
人それぞれ事情がありますから一概には言えませんが、40代になるまでにどういった仕事ぶりだったかは面接時に細かに聞き取ります。
一例として、筆者が面接を担当した応募者の話をします。
【転職理由】
前職場の人間関係に耐えかねた
【自己アピール】
- 介護職歴は10年です。
- 前の職場ではサービス提供責任者をやっていました。
- 人をまとめるのが得意です。
【僕が感じたこと】
- 管理職でありながら、さらに45歳までの経験がありながら人間関係を改善できなかった
- この人を雇ってどのような利益があるか見えてこなかった
45歳までの経験の中で、「この人を雇ったら弊社にこんな利益がある」と感じられなければ、当たり前ですが若い戦力を選びます。
このように年齢を重ねれば重ねるほど、求められる能力のハードルが上がります。
こうならない為にも、まずは今の職場でできることを最大限やりましょう。
人間関係を再構築する必要がある
今の職場で人間関係を構築するのに、どのくらいの時間がかかったか覚えていますか?
上司や同僚との人間関係は、業務を円滑に行うために欠かせません。
コミュニケーション上手な人であれば、人間関係を構築するのも苦ではないし時間もあまりかからないかもしれません。
しかしコミュニケーションに自身が無い人にとっては、新しい職場で新たな人間関係を構築するのは骨が折れますよね。
デメリットに感じるかどうかは個人差がありますが、上手な人も自身の無い人も少なからず負担に感じることでしょう。
転職活動に時間を割く必要がある
転職活動に必要な期間は、スムーズにいったとしても1か月はかかるでしょう。
求人を探して履歴書を書いて面接をして…とても1週間やそこらで転職はできませんよね。
これらを働きながらやるには、休日を使う場面もあるでしょう。
少しでも手間を省くいたり条件の良い職場に転職するために転職エージェントを利用するのは今や一般的ですが、それでも結構な負担になります。
転職活動が長引けば長引くほど、負担は大きくなります。
できる限り短い期間で転職活動を終えられるように、しっかりと計画を立てることをおすすめします。
計画を立てるのに役立つ記事はコチラ>>>介護職の転職活動完全ガイド
転職するのはまだ早い?まずはできることをやろう
転職を考えるのはもう少し待って!
そのパターンは以下の2点です。
- 疑問に思うことがあるもののしっかりとミーティングは開催されている
- この仕事が自分に合っていないと思っている
それぞれ説明していくね。
①まずは話し合おう
和を以て貴しとなす
なになに?なんで聖徳太子?
そう、憲法十七条の冒頭に書かれてる文だよ。
ざっくり言うと、「上司と部下、同僚はまず話し合いの場を持ち、解決に尽力しよう」ってことさ。
どんな問題があろうとも、しっかりとミーティング等の議論の場が設けられているのであれば、まずは話し合いでの問題解決に力を注ぐべきです。
そうだね、辞めるのは簡単だけどまずは解決方法を考えてみなきゃね。
解決困難な問題にぶち当たった時こそまずは話し合い。
もし辞めることになっても問題から逃げてしまうのではなく、どのように解決に向けて挑んだかがその後の転職活動に影響します。
- 問題に対してどのような行動をとったか?
- どんな努力をしたか?
- どのような結果に至ったか?
こういった経験を話せるようにしておくことで、次の職場の面接担当のあなたへの評価が上がります。
②最低1年は経験してから考えよう
今どきの若いもんは…
なんてことを言うつもりはありません。
しかし、障害者の支援について言えることは、「障害の特性を踏まえた個別の対応が必要」ということです。
その最たる例を挙げると、筆者が勤務している法人内は様々な業態があり、その中の一つに訪問介護がありますが対象の利用者は、身体障害の方もいれば知的障害の方やダウン症の方もいます。
まずはそれぞれの障害の特性や個人の性質を理解しつつ、「どんな生活を実現したいか」や「どんなこだわりを持って生活しているか」を理解することから始まります。
それらを理解して仕事をすることで、やっと信頼を得ることができるのです。
体感ですが、信頼を得るまでに最低1年はかかります。
信頼関係を築くことで、今まで見えなかった利用者の”隠れたニーズ”がなんとなく見えるようになり、本当のやりがいを見出すスタッフが少なくありません。
ですから、自分に合う仕事かどうか1年間頑張ってみて判断することを推奨しています。
ちなみに筆者が管理職になって15年間、筆者の元で働いて1年後にすぐに辞めた職員は誰もいません。
「石の上にも何とやら」ってね。
そうだね、3年は長いけど1年なら…って人もいるよね。
とはいえ、転職が有利に働くこともあるよ。
どういった場合に転職が有利に働くのかを、次に解説していきます。
転職するメリット
転職する理由はいろいろありますが、自身の向上につながるような転職であればメリットがあります。
自身の向上につながる転職理由は、大きく分けて以下の3つです。
- スキルアップ
- 年収アップ
- 自分に合った職場探し
上記をそれぞれ詳しく解説していくよ。
①スキルアップ
まずはスキルアップが目的の場合だね。
様々な業態の経験のため
障害者支援の業界には様々な業態があります。
- 生活介護
- 放課後等デイサービス
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 居宅介護
- グループホーム
- 相談支援
細かく分類するともっとたくさんあります。
対象となる利用者もその業態によって様々です。
例えば、日中は生活介護施設に通っていて、それ以外の時間は訪問介護のヘルパーを利用している方がいるとします。
その方の支援をしようとした時に、果たして社会生活である生活介護施設の側面だけをみて、より良い支援ができるでしょうか?
答えはNO!
社会生活と私生活の両面を理解することで、ようやくその方の本当の姿やニーズが見えてきます。
本当に求めていることや実現したい生活を知ることで初めて、より質の高い支援を提供することができるのです。
私たちも同じですよね。
仕事や家庭に求めていることはそれぞれで違うはずです。
つまり、利用者の私生活と社会生活の両面を知るには、ひとつの業態を経験するだけでは難しいということです。
それらを知るということがスキルに直結するため、面接時にはマイナスにならないどころかプラスに働きます。
様々な理念に触れるため
事業所によって、利用者に対するアプローチが全く違う場合があります。
ひとつの職場ではどうしても視点が偏ってしまいがちです。
「他の事業所ではどのように支援しているのかな?」
こんな疑問を持てたあなたは素晴らしい!
まずは、他の事業所と積極的にコミュニケーションをとりましょう。
ひとりの利用者が複数の事業所に関わっている場合が多々あるので、きっかけとしては最適です。
その方の支援について話をする中で、自分の職場とは違う支援があることに気付くはずです。
それぞれの事業所で大切にしていることや、理念に掲げていることが違います。
様々な支援方法や理念に触れることで、自身のスキルアップにつながります。
そのための転職であれば、少なくとも筆者はマイナス評価をつけません。
計画性を持つことが大事
とはいえ、やみくもに転職を繰り返しても職歴が増えるだけです。
ここは計画性を持って将来像を描きましょう。
例えば、「ひとつの事業所は3年勤め、その間にできる限りのことを吸収する」とか、「10年はいろいろな職場を経験する」など、自分なりの計画を立ててスキルアップしていくことが大切です。
計画には、目標が必要です。
「10年後にどうなっていたいか?」を考えてみよう。
筆者は今までに、高齢者のデイサービス兼入所施設~高齢者の訪問介護~障害者の通所施設~障害者の訪問介護を経験してきました。
それぞれの事業所で培った知識や経験は、現在の相談支援専門員という職務で非常に役立っています。
当初描いていた将来像とは少し違ったものになりましたが、その過程で得られたことは充分に活かせています。
このように将来像を描いて、そのために何を学ぶべきかを考え、その過程でのスキルアップのための転職ができると最高です。
②年収アップ
障害福祉サービスは、サービスの種類によって単位が決められています。
報酬は、その単位に「地域区分」で決められた割合を上乗せして支払われます。
地域区分は「1~7級地・その他」に分類されていて、それぞれで上乗せの割合が異なります。
地域区分による上乗せ割合と、該当する地域は次の通りです。
- 1級地(20%上乗せ)
-
東京23区
- 2級地(16%上乗せ)
-
町田市、狛江市、多摩市、横浜市、川崎市、大阪市
- 3級地(15%上乗せ)
-
さいたま市、千葉市、八王子市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、調布市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、清瀬市、東久留米市、稲城市、西東京市、鎌倉市、名古屋市、守口市、大東市、門真市、四條畷市、西宮市、芦屋市、宝塚市
- 4級地(12%)
-
牛久市、朝霞市、志木市、和光市、船橋市、成田市、習志野市、浦安市、立川市、昭島市、東大和市、相模原市、藤沢市、逗子市、厚木市、海老名市、刈谷市、豊田市、豊中市、池田市、吹田市、高槻市、寝屋川市、箕面市、神戸市
- 5級地(10%)
-
水戸市、日立市、龍ケ崎市、取手市、つくば市、守谷市、新座市、ふじみ野市、市川市、松戸市、佐倉市、市原市、八千代市、四街道市、印西市、栄町、福生市、あきる野市、日の出町、横須賀市、平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、大和市、伊勢原市、座間市、綾瀬市、寒川町、愛川町、みよし市、大津市、草津市、栗東市、京都市、堺市、枚方市、茨木市、八尾市、松原市、摂津市、高石市、東大阪市、交野市、尼崎市、伊丹市、川西市、三田市、広島市、府中町、福岡市、春日市
- 6級地(6%)
-
仙台市、武蔵村山市、岸和田市、多賀城市、羽村市、泉大津市、瑞穂町、貝塚市、土浦市、奥多摩町、泉佐野市、古河市、檜原村、富田林市、利根町、河内長野市、三浦市、和泉市、宇都宮市、秦野市、柏原市、下野市、葉山町、羽曳野市、野木町、大磯町、藤井寺市、二宮町、泉南市、高崎市、清川村、大阪狭山市、阪南市、川越市、岐阜市、島本町、川口市、豊能町、行田市、静岡市、能勢町、所沢市、忠岡町、飯能市、岡崎市、熊取町、加須市、瀬戸市、田尻町、東松山市、春日井市、岬町、春日部市、津島市、太子町、狭山市、碧南市、河南町、羽生市、安城市、千早赤阪村、鴻巣市、西尾市、上尾市、稲沢市、明石市、草加市、知立市、猪名川町、越谷市、豊明市、蕨市、日進市、奈良市、戸田市、愛西市、大和高田市、入間市、清須市、大和郡山市、桶川市、北名古屋市、生駒市、久喜市、弥富市、北本市、あま市、和歌山市、八潮市、長久手市、橋本市、富士見市、東郷町、三郷市、大治町、大野城市、蓮田市、蟹江町、太宰府市、坂戸市、豊山町、福津市、幸手市、飛島村、糸島市、鶴ヶ島市、那珂川市、吉川市、津市、粕屋町、白岡市、四日市市、伊奈町、桑名市、三芳町、鈴鹿市、宮代町、亀山市、杉戸町、松伏町、彦根市、守山市、野田市、甲賀市、茂原市、柏市、宇治市、流山市、亀岡市、我孫子市、向日市、鎌ケ谷市、長岡京市、袖ケ浦市、八幡市、白井市、京田辺市、酒々井町、木津川市、精華町
- 7級地(3%)
-
札幌市、結城市、下妻市、常総市、笠間市、ひたちなか市、那珂市、筑西市、坂東市、稲敷市、つくばみらい市、大洗町、阿見町、河内町、八千代町、五霞町、境町、栃木市、鹿沼市、日光市、小山市、真岡市、大田原市、さくら市、壬生町、前橋市、伊勢崎市、太田市、渋川市、玉村町、熊谷市、深谷市、日高市、毛呂山町、越生町、滑川町、川島町、吉見町、鳩山町、寄居町、木更津市、東金市、君津市、富津市、八街市、富里市、山武市、大網白里市、長柄町、長南町、山北町、箱根町、浜松市、沼津市、三島市、富士宮市、島田市、富士市、磐田市、焼津市、掛川市、藤枝市、御殿場市、袋井市、裾野市、函南町、清水町、長泉町、小山町、川根本町、森町、新潟市、富山市、金沢市、内灘町、福井市、甲府市、長野市、松本市、塩尻市、大垣市、多治見市、各務原市、可児市、天理市、橿原市、桜井市、御所市、香芝市、葛城市、宇陀市、山添村、平群町、三郷町、斑鳩町、安堵町、川西町、三宅町、田原本町、曽爾村、明日香村、上牧町、王寺町、広陵町、河合町、岡山市、東広島市、廿日市市、海田町、坂町、周南市、徳島市、高松市、北九州市、飯塚市、筑紫野市、古賀市、長崎市
- その他(0%)
-
その他の地域
-
参考資料:「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」(厚生労働省)
地域によって、かなり上乗せ割合が違うことがわかります。
実際、働く地域によって給与の格差はかなりあります。
平均給与額でいうと、例えば東京都が約28万円なのに対して、隣の千葉県は約24万円です。
求人を見てみてもやはり東京の方が高い傾向にあります。
地域区分の上乗せ割合は給与額の指標のひとつですので、賃金に不満があるなら思い切って割合の高い地域に転職するのもアリです。
また、業態によっても給与に差がありますし、事業所によっても給与はかなり違うこともあります。
これらの要素を組み合わせて、自分に合った収入アップを転職によって果たすことができるでしょう。
事業所による給与の違いを知りたい>>>【高齢者介護】介護職の給与が高い施設はどこ?規模や経験でどのくらい違う? >>>【障害者支援】給与が高い施設・事業所はどこ?規模や職種でどのくらい違う?
③自分に合った職場探し
職場環境は大事だよね。
通勤時間、通勤手段、労働時間
現在の通勤時間はどれほどでしょうか?
筆者の通勤時間は、車で片道15分程度です。
筆者の場合、「車通勤車移動」「通勤時間30分以内」であることはとても助かっています。
職場が近い&車で通えるおかげで、子どもの幼稚園や学校の行事に仕事の合間に参加できたり、一緒に勉強する時間を確保できたりしています。
労働時間も一日8時間で残業もあまりありません。
もちろん残業代を含めた賃金も大切ですが、今は子どもとの時間を優先しようと思っています。
このように、それぞれのライフスタイルに合わせた職場選びは、自身の幸福に影響します。
現在の職場が、自分のライフスタイルに合っていないというのは立派な転職理由です。
【介護職の転職】まとめ
今回は、障害福祉の分野での転職のメリットやデメリット、転職時にマイナス評価にならない理由をお伝えしました。
- スキルアップできる
- 働き方を改善できる
- 給料のアップにつながる
- 転職に有利なのは30代まで
- 40代以上は体力や賃金、能力的なハードルなど課題が多い
何かしらの目的を持って転職することが、自身の処遇を改善するポイントです。
今の職場が嫌だからといって安易に転職するのではなく、まずは改善を試みることが大切です。
それでも納得ができなければ、しっかりと計画を立てて転職活動することが成功の秘訣です。
オススメは若いうちだよ!
今回は、「障害福祉業界での押さえておきたい3つの転職理由」について解説してきました。
- 今の職場に不満があるあなた
- より良い職場環境のために転職を考えているあなた
本記事が参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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