【居宅介護管理者が教える】個別支援計画書の書き方完全ガイド

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個別支援計画書って、作るのが大変。

かえるパパ

慣れないうちは難しいよね。
僕も管理職になり始めの頃は苦労したよ。

そうなんだ~
作り方なんて教わってないし「これでいいのかな?」っていつも思うよ。

個別支援計画書の作成につまづく人って本当に多いんです。

なぜなら、作り方を教わることがあまり無いからです。

中には、「個別支援計画書なんて形だけでしょ?」と思う人もいますが、それは大間違い。

地図やコンパスを持たずに大海に出るようなものです。

障害を持つ方のサポートは個別支援計画書ありきと言ってもいいくらい大切なのです。

この記事はこんな人にオススメ
  • サビ管、サ責になりたての人
  • 個別支援計画書をブラッシュアップしたい人

今回は、しっかりと地図やコンパスの役割を果たせるような個別支援計画書の作り方を解説していきますね。

この記事の信頼性
  • 介護業界20年、現役の居宅介護事業所管理者 兼 相談支援専門員が執筆。
  • 持っている資格:ホームヘルパー2級、介護福祉士、ケアマネジャー、相談支援専門員
  • 介護業界で面接を担当した人数は150名以上
  • 介護業界で転職を3回経験
クリックできる目次

個別支援計画書ってなに?

個別支援計画書とは、利用者ひとりひとりのニーズや特性に合わせて、支援目標や支援内容が書かれたものです。

つまり、どのような必要性があって、どういった目標で、どんな支援をするか?が書かれたものが個別支援計画書です。

インターネットを検索すれば様々な書式がありますが、自治体で決められた書式は無く事業所毎で自由に項目を設定して作成することができます。

作成後は、 「我々〇〇は、この書類に基づきサービスを実施します。」という意思確認を込めて、必ず利用者および家族に確認してもらい同意を得ます。

また、個別支援計画書は他のサービス事業所との連携にも利用します。

複数のサービスを利用している場合など、他事業所と支援目標を共有したり支援方針を参考にすることができます。

かえるパパ

それじゃあ早速、詳しい内容と書き方について解説していくよ。

個別支援計画書の必須項目のポイントの解説

個別支援計画書を作成するにあたり、必ず設定したい項目があります。

外せない項目
  1. 利用者および家族のニーズ
  2. 長期目標
  3. 短期目標
  4. 支援方針
  5. 支援内容
かえるパパ

これらの必須項目の、考え方や書き方についてのポイントを解説していくね。

①利用者および家族のニーズ

ニーズはアセスメントの段階で聞き取りをします。

ニーズとは、利用者の生活を維持向上させるために必要な要求のことです。

ここで、ニーズ、デマンド、ウォンツの違いを説明します。

  • ニーズ(必要性):欠けているものがあって困っている状態
  • ウォンツ(欲求):ニーズを満たすものが欲しいという気持ち
  • デマンド(需要):具体的な要求、対象物

具体例を挙げて説明します。

よく使われる例としてドリルが欲しいときの心理が使われますが、せっかくなので介護業界の実際を当てはめてみます。

例:お風呂に入りたい、入浴介助を希望している

  • ニーズ:身体の清潔、リラックスしたい
  • ウォンツ:入浴の介助
  • デマンド:ひのき風呂がいい、銭湯に行きたいなど

つまりニーズとして書かれていなければならないことは、「入浴の介助をして欲しい」ではなく「身体の清潔、リラックスしたい」ということです。

かえるパパ

基本中の基本なんだけど、めちゃくちゃ大事!

仮に「免疫力を高めたい」と思っている利用者であれば入浴の方法や留意点も変わってきます。

そういった細かいニーズや潜在的なニーズを捉えるようなアセスメントを行っているかが、満足度、そして信頼関係に影響を与えます。

それを一元的に「入浴といえば綺麗にすることだ」と思わずに、しっかりとコミュニケーションをとって潜在的なニーズを炙り出していくことが必要です。

ニーズの種類
  • 顕在ニーズ:利用者自身も自覚していて表面化している欲求。ウォンツに近い。
  • 潜在ニーズ:利用者自身が自覚しておらず、隠された不満や理想と現実のギャップ。引き出すためには「なぜ?」を繰り返すなどのテクニックを要する。

洗剤ニーズね!うん、知ってる知ってる!

かえるパパ

潜在な!
よくある手法だと、「なぜ」を繰り返していくと潜在ニーズにたどり着きやすいんだ。

②長期目標

長期目標は、およそ1年間で達成できる目標を設定します。

これは支援者の目標ではなく、利用者の生活全般の目標です。

アセスメントの段階で、1年後にどういった生活を実現させたいかを話し合います。

ここでは、利用者および家族の思いや希望を反映させつつ可能な限り行動ベースの目標を設定します。

かえるパパ

なるべく具体的に書くのがポイント!
曖昧な表現はしないようにしよう。

すでにケアマネージャーや相談支援専門員が聞き取った内容から長期目標が示されている場合は、それを参考にするのが良いでしょう。

それを参考にせずに独自の目標設定をしないようにしましょう。

なぜなら、複数の事業所で福祉サービスを利用している場合は他事業所と長期目標が違うと混乱を招いてしまうからです。

続いて、短期目標の設定です。

③短期目標

短期目標は、1か月~3か月の目標を設定します。

短期的に達成できる、より具体的な内容を盛り込みます。

ここでは、長期目標を達成するために短期的に何を達成すべきかが示されなければなりません。

よくある間違った短期目標の設定の例を紹介します。

長期目標:身体を清潔にし、健全な生活を実現する。

短期目標:

声かけによって、自発的に浴室に移動できる

自発的に浴室に移動できる。

かえるパパ

文字に起こすと小さな違いに感じるかもしれないけど、実はここがすごく大事!

他に例をあげると、着替えについてであれば、

  • 着替えをひとりでできる
  • ひとりで袖を通すことができる

などの例があります。

このように可能な限り具体的に示すことが大切です。

短期的に何をすれば長期目標を達成できるかを明確にしなければならず、その設定には専門性を要します。

かえるパパ

障害の特性や利用者本人の性格などを理解する必要があるんだ。

目標を設定できたら、次は支援方針です。

④支援方針

支援方針には、事業所の思いや理念を盛り込みます。

かえるパパ

事業所のカラーや特徴を盛り込むといいよ。

「方針」というと難しいかもしれませんが、要は長期目標に対してどのようにアプローチするか?という内容であり、

どういった理念のもとで何を大切にしていくのか?を示します。

➄支援内容

短期目標を達成するためにどのような支援を実施するのか、具体的な支援内容を示す部分です。

何をどうすればいいのか、誰でも分かりやすいように記します。

前項までの例でいうと、

短期目標:声かけによって自発的に浴室に移動できる

支援内容:お風呂の絵が描かれたカード等、視覚的にも分かりやすい情報も提示しながら声かけをして促す。

利用者本人の特性や性格に合わせて、具体的にどんなことをしていくのかを記します。

しっかりとした支援内容にするためには障害等の特性や利用者本人の理解が不可欠であり、より高い専門性を発揮して具体的なアプローチを考える必要があります。

いろいろな項目を経て、最後に支援内容を考えるんだね!

かえるパパ

うんうん。
支援内容から先に決めても無駄無駄無駄ぁ!

ところでさ、計画書っていろいろ種類があるよね?

かえるパパ

そうだね、それも解説しておこうか。

ケアプラン、サービス等利用計画書、居宅介護計画書との違い

計画書にはいくつか種類がありますが、それぞれ役割があります。

  • ケアプラン:介護保険のケアマネージャーが作成する計画書。各サービス事業所に対して、どのような環境から、何のサービスが必要かを示すもの。
  • サービス等利用計画書:相談支援専門員が作成する計画書。いわゆるケアプランの障害福祉サービス版。
  • 居宅介護計画書:ケアプランやサービス等利用計画書をもとに、訪問介護事業所が具体的なサービス時間やサービスの種類、内容等を示すもの。

訪問介護事業所で作成するのは、居宅介護計画書です。

居宅介護計画書は行政による実地指導(監査)でも必要になります。

そのため、「個別支援計画書 作り方」と検索すると出てくるように、監査対策のために作る事業所もあります。

実は、訪問介護事業所を運営するのに必要なのは居宅介護計画書の方です。

訪問介護事業所を運営するだけであれば、個別支援計画書は必要ありません。

え?必要ないの?

かえるパパ

制度上は、居宅介護計画書があればOKだよ。

では、支援をする上で「どうして個別支援計画書は必要なのか?」を説明します。

なぜ個別支援計画書が必要なのか?

先述した通り、個別支援計画書にはどのような必要性があって、どういった目標で、どんな支援をするか?が書かれています。

支援=サービスを実施するにあたり上記のことがわからないということは、どのような支援をしたいいか分からないということです。

支援=サービスですから、利用者にとって心地よいものでなくてはいけません。

例えば、排泄の介助は人間の尊厳にもあたる部分であり、どういった配慮が必要かはひとりひとり違います。

それが示されているのが個別支援計画書なのです。

個別支援計画書に基づいた支援こそが本当の支援である、と言っても過言ではないのです。

つまり、個別支援計画書の閲覧を指示されなかったり、しっかりとポイントを踏まえて作成されていないことは、本来あってはならないのです。

そこで働く人も利用者の生活を真摯に考え、そこにやりがいを感じています

今後需要の増えるこの業界で、あなたはどのようなやりがいを感じて働きたいですか?

【まとめ】個別支援計画書の書き方と必要性

今回は、個別支援計画書の書き方と必要性を解説してきました。

最後に書き方のポイントをまとめます。

個別支援計画書の書き方のポイント
  • アセスメントをしっかりと行っている
  • 潜在的なニーズを引き出すことができている
  • 支援方針に事業所の理念や思いが反映されている
  • 支援内容に専門的な視点が盛り込まれている

冒頭でも述べましたが、この記事で書いたようなことは誰も教えてくれないのが現実です。

なぜなら、「サービスを実施することによってどのような価値を提供できるのか」に焦点を当てていないからです。

かえるパパ

「介護職は専門性が低い」と言われる理由のひとつだよね。

研修会とかで教えてくれてもいいのに~

個別支援計画書をしっかりと作成し、今後の時代を担う若い人たちがやりがいを感じて働ける職場を作ることは社会貢献のひとつであると、筆者は思います。

かえるパパ

本記事は以上です。
個別支援計画が書けなくて悩んでいるあなたの一助になれば幸いです。


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この記事を書いた人

高齢者デイサービス、高齢者訪問介護を経て障害福祉業界に20年携わっています。
現在は、居宅介護の管理者 兼 相談支援専門員として活躍しています。
資格は介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネージャー)、相談支援専門員を所有しています。
介護業界に身を置いている経験から、現役介護職に向けて情報を発信しています。

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