前回は、障害者の介護サービスとして身体介護・家事援助・通院等介助・重度訪問介護について解説しました。
とても勉強になりました!今回もよろしくお願いします!
それじゃあ前回に引き続き訪問系サービスについて解説していきま~す。
- 障害福祉サービス(訪問系)の仕事内容→同行援護・行動援護
障害者支援のお仕事に興味のある方、現役介護職の方に有益な内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
※3部構成になっています。他記事もぜひご覧ください。
- 介護業界20年、現役の居宅介護事業所管理者兼相談支援専門員が執筆。
- 持っている資格:介護福祉士、ケアマネージャー、相談支援専門
では早速、本文へGO!
同行援護とは?
視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること。
詳しく説明すると、視覚障害のある方に対して次のような支援を行うことであります。
- 移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む。)
- 移動時及びそれに伴う外出先において必要な移動の援護
- 排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助
たまに杖のようなものを持ちながら、前を歩く人の肩に手を置いて歩いている人を見かけない?
うんうん、たまにというかよく見かける!
それも移動の介助のひとつで、もしかしたらヘルパーによる同行援護の最中かもしれないね。
視覚障害の方が持つ杖を「白杖(はくじょう)」と言います。
前方の道路状況などを確認するために必要な日常生活用具です。
同行援護の対象者
同行援護の対象者は、視覚障害のある方です。
どの程度の視力で視覚障害と認定されるのかな?
視覚障害の定義はこんな感じ。
視機能の永続的な低下により学習や生活に支障がある状態をいいます。学習では,動作の模倣,文字の読み書き,事物の確認の困難等があります。また,生活では,慣れない場所においては,物の位置や人の動きを即時的に把握することが困難であったり,他者の存在に気付いたり,顔の表情を察したりするが困難であり,単独で移動することや相手の意図や感情の変化を読み取ったりすることが難しい等があります。
法的にみると、次に挙げる項目のいずれかが永続する状態をいいます。
- 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常がある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ。)がそれぞれ0.1以下のもの。
- 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもの。
- 両眼の視野がそれぞれ 10 度以内のもの。
- 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの。
出典:身体障害者福祉法別表(第4条、第15条、第16条関係)
へえ~、視力だけの問題じゃないんたね。
このように視力だけでなく、視野狭窄でも視覚障害と認定されます。
同行援護には別の資格が必要?
同行援護を行うヘルパーは、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)以外に職務によって次のような資格要件があります。
- サービス提供責任者の資格要件(アおよびイのいずれにも該当する者 又はウに該当する者)
ア)居宅介護のサービス提供責任者の資格要件を満たす者。(介護福祉士、実務者研修修了者、介護
職員基礎研修修了者、居宅介護従業者養成研修1級課程修了者、居宅介護職員初任者研修(2級
課程)修了者で3年以上(540 日以上)介護等の業務に従事した者。)
イ) 同行援護従業者養成研修(一般課程及び応用課程)を修了した者。
ウ) 厚生労働大臣が定める従業者(平成 18 年厚生労働省告示第 556 号)に定める国立障害者リ
ハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者又はこれに準ずる者。
- 従業者資格要件(ア、イ、ウのいずれかに該当する者)
ア) 同行援護従業者養成研修(一般課程)を修了した者 。
イ) 居宅介護従業者の資格要件を満たす者であって、視覚障害者等の福祉に関する事業(直接処遇
職員に限る。)に1年以上(180 日以上)従事した経験を有する者。
ウ) 厚生労働大臣が定める従業者(平成 18 年厚生労働省告示第 556 号)に定める国立障害者リハ
ビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者又はこれに準ずる者。
上記にある同行援護従業者養成研修で学ぶ科目は次の通りです。
- 一般課程(合計20時間)
- 講義科目<12時間>視覚障害者(児)福祉の制度とサービス/同行援護の制度と従業者の業務/障害・疾病の理解①/障害者(児)の心理①/情報支援と情報提供/代筆・代読の基礎知識/同行援護の基礎知識
- 演習科目<8時間>基本技能/応用技能
- 応用課程(合計12時間)
- 講義科目<2時間>障害・疾病の理解②/障害者(児)の心理②
- 演習科目<10時間>場面別基本技能/場面別応用技能/交通機関の利用
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行動援護とは?
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等が行動する際の必要な援助を行います。
つまり、1人での外出が著しく困難な障害のある方に対して次のような支援を行います。
- 行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護
- 外出時における移動中の介護
- 排せつ及び食事等の介護その他の行動する際に必要な援助
また、具体的には次のような支援を行います。
- 行動の予定がわからないなどのため不安定になり、不適切な行動がでないよう予め行動の順番や外出する場合の目的地での行動などを理解してもらう。(予防的対応)
- 行動障害を起こしてしまった時の問題行動を適切におさめる。(制御的対応)
- 便意の認識ができない方の介助。(身体介護的対応)
なんだかめちゃくちゃ大変そう!
確かに大変だけど、その分やりがいもあるよ。
体力を使う支援なので、若いうちに経験しておくと様々な経験を積むことができます。
行動援護の対象者
障害支援区分が区分3以上であって、障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上(障害児にあってはこれに相当する支援の度合)である者
行動関連項目等?
行動関連項目等(12項目)は、障害支援区分を決定するために認定調査員が聞き取る項目です。
介護保険でいうところの要介護認定みたいなものだね。
この項目で10点以上の方を強度行動障害の方といいます。
つまり、行動援護の対象者は強度行動障害の方と言い換えることができます。
行動援護には別の資格が必要?
行動援護は、幅広い知的障害や精神障害を持った対象者と外出を伴う支援を行うため、専門的な知識や経験が必要です。
また、同行援護と同じように職務によって資格要件が異なります。
- サービス提供責任者の資格要件(アまたはイに該当する者)
(ァ)行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実
践研修)修了者であって、知的障害者・知的障害児又は精神障害者の直接支援業務(入浴、
排泄、食事等の介護、調理及び洗濯等の家事)に3年かつ 540 日以上の従事経験を有する
者。
(イ)居宅介護従業者(下記参照)の要件を満たす者であって、知的障害者・知的障害児又は精神
障害者の直接支援業務(入浴、排泄、食事等の介護、調理及び洗濯等の家事)に5年かつ
900 日以上の従事経験を有する者。(2024年3月31日までの経過措置)
- 従業者資格要件(アまたはイに該当する者)
(ァ)行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実
践研修)修了者であって、知的障害者・知的障害児又は精神障害者の直接支援業務(入浴、
排泄、食事等の介護、調理及び洗濯等の家事)に1年かつ 180 日以上の従事経験を有する
者。
(イ)居宅介護従業者(下記参照)の要件を満たす者であって、知的障害者・知的障害児又は精神
障害者の直接支援業務(入浴、排泄、食事等の介護、調理及び洗濯等の家事)に2年かつ
360 日以上の従事経験を有する者。(2024年3月31日までの経過措置)
上記の、行動援護従業者養成研修で学ぶ科目は次の通りです。
- 講義科目(合計20時間)
- 講義科目<10時間>強度行動障害がある者の基本的理解/強度行動障害に関する制度及び支援技術の基礎的な知識/強度行動障害のある者へのチーム支援/強度行動障害と生活の組み立て
- 演習科目<14時間>強度行動障害がある者の基本的理解/強度行動障害に関する制度及び支援技術の基礎的な知識/強度行動障害のある者へのチーム支援/強度行動障害と生活の組み立て
行動援護従業者養成研修と、強度行動障害支援者養成研修はどっちでもいいの?
行動援護サービスを実施するにはどちらでもいいのですが、それぞれで違いがあるので説明しますね。
- 行動援護従業者養成研修
強度行動障害がある方の外出支援に特化した研修
- 強度行動障害支援者養成研修
日常的に強度行動障害者と接している人が幅広く強度行動障害について学ぶ研修
つまり、
行動援護サービスを実施する場合は「行動援護従業者養成研修」
行動障害のある方に対する施設系サービスの場合は「強度行動障害支援者養成研修」
を受講するのが適しています。
今回は、障害福祉サービス(訪問系)の同行援護・行動援護について解説しました。
障害のある方にとって、介護サービスは生活する上で必要なサービスです。
まずは仕事の内容を広く知ってもらい、一緒に働く仲間が増えることを願って本記事を終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
では、また!
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