障害者の介護事業所で働いているんだけど、知識があまりなくても大丈夫なのかなあ?
特に制度のことは、経験の浅い人だけでなくベテランの人でも分からないことが結構あるよね。
そうなんだよね、制度のことってあまり教えてもらえないんだよね。
施設系のサービスであれば、一緒に仕事をしていく中で聞ける場面も多いと思います。
しかし訪問系のサービスでは基本はひとりで動いているため、改まって教わる場面が少ないのが現状です。
制度のことなんて分かっていて当然!
そんな空気感に心当たりがある人もいるのではないでしょうか。
そんなあなたのために、前記事では訪問系の障害福祉サービスについて解説してきました。
今回は、それでもまだ疑問があるという人に向けて、障害のある方への介護Q&A方式でお答えしていきたいと思います。
- すでにホームヘルパーとして働いている方
- これからホームヘルパーとして働きたいと思っている方
上記の人にとって有益な記事ですので、ぜひ最後までご覧ください。
- 介護業界20年、現役の居宅介護事業所管理者兼相談支援専門員が執筆。
- 持っている資格:介護福祉士、ケアマネージャー、相談支援専門
- 年収:ざっくり520万円
【障害福祉サービス】よくある質問【Q&A】
1.ヘルパーは服薬介助ができるの?
服薬介助をお願いされることがあるんだけど、やってもいいのかな?
基本的には、ヘルパーができる範囲は「服薬見守り」です。
服薬管理はご家族にしてもらいます。
服薬介助について、ヘルパーができることとできないことは次の通りです。
- 一包化された薬の準備
- 服薬の声かけ
- 飲み残しがないかの確認
- 軟膏の塗布
- 湿布の貼付
- 坐薬の挿入
- 点眼
シートから取り出すのもダメなんて知らなかったよ。
上記の「できないこと」は、医療行為になっちゃうんだ。
2.利用者の家族の家事はやっていいの?
ご家族から頼まれるケースって結構多いんだよね…
障害福祉サービスの家事援助(介護保険の生活援助)では、基本的には利用者本人以外の調理や洗濯等の家事はできないことになっています。
その他にも、制度で対応できない家事がいろいろあります。
よく頼まれる、ヘルパーができない家事は次の通りです。
- 庭の手入れ(掃除、草むしりなど)
- 窓拭き
- 行事食作り(おせちなど)
- 銀行での預貯金
- 大掃除の手伝い
ひとり暮らしの方、ご家族が高齢のお宅はこのような頼み事が多いのが現状です。
もし頼まれたら一度事業所に持ち帰って検討するのが無難かな。
3.入院中の利用者から依頼があった場合はどうしたらいいの?
入院中は、身体介護や家事援助といった居宅介護サービスを利用することはできません。
また、入退院の時に通院等介助も利用できません。
そっかあ、入院中は居宅介護サービスの利用はできないんだね。
ちょっと待って。
全てのサービスが利用できないわけじゃあないんだ。
条件付きですが、利用できるサービスがあります。
重度訪問介護が利用できます。
↓【利用できる条件】↓
- 区分6以上
- 入院前から重度訪問介護を利用している
①と②の両方を満たしている場合、重度訪問介護の利用ができます。
かなり限定されるけど、上記のサービスなら利用できるよ。
4.通院や外出同行の際、車を使っていいの?
身体障害の方や重度の知的障害の方など、公共の交通機関の利用が難しいケースもあります。
しかし残念ながら車の使用は認められないケースがほとんどです。
電車やバスは難しいんだよね?だったらどうすればいいのかな?
「認められない」というのは、厳密に言うと「車に乗っている時間は算定できない」ということです。
つまり、乗車している時間は制度外の自主サービス(有償運送など)で対応し、乗車していない時間を制度で対応すればOKです。
なるほど!
とはいえ、まずはそういったケースがあることを自治体に相談しましょう。
車を使っていることを予め知っていてもらうことで、変な誤解を生まないためです。
車の利用は地域によっては必須になるので、自治体と事業所間でよく話し合って風通しの良いサービスを提供しましょう。
【移動支援】よくある質問【Q&A】
移動支援は、実は利用する側にもあまり詳しく知られていない場合があります。
正しく説明できるように、知識として頭に入れておきましょう。
屋外での移動が困難な障害者等について、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出の際の移動を支援するサービス。
参考資料:厚生労働省「地域生活支援事業等の実施について」(別記1-9)移動支援事業実施要領
ひとことで言うと、余暇を楽しむための外出の支援だね。
1.移動支援で行ける場所ってどんなところなの?
どこでも行けるってわけじゃないのね。
余暇の外出といっても、行ける場所にはちょっとした制限があるんだ。
移動支援を利用できないケースは次の通りです。
- 自宅からの通院や定期通院。
- 通勤、通学(利用できる自治体もある)
- 政治活動や宗教活動
- ギャンブル
上記の①~④について詳しく説明していきます。
①自宅からの通院や定期通院
障害福祉サービスの通院等介助が優先適用されるため移動支援の利用はできません。
②通勤、通学
移動支援での「通年かつ長期にわたる外出」は基本的にNGです(自治体によっては認められているケースもあるため要確認)。
また、学校の社会科見学や修学旅行等の場合でも基本的に利用はNGです。
③政治活動や宗教活動
福祉サービスの財源は税金です。
税金を投入してサービスを提供しているにも関わらず、特定の政党を支持するための活動や、宗教の布教活動を行うことは社会倫理の観点から認められていません。
また、同様の理由で経済活動(利用者がお金を得るための活動)を目的とした外出におけるサービスの利用もNGです。
④ギャンブル
パチンコやスロットだけでなく、公営と認められた競艇や競馬を行うための利用はNGです。
こちらも政治活動などと同様に、税金を使って行く場所としては妥当ではないとされています。
2.お酒を飲みに行く場合も利用できるの?
飲酒を目的とした外出については、自治体によって判断が異なるため確認が必要です。
自治体に相談する際は、飲酒が目的ではなく遊びが目的であると伝えましょう。
遊びに行った過程での飲酒の場合は認められるケースもあります。
当然ですが、ヘルパーの飲酒はダメだよ!
バ、バレたか!
3.外出先のヘルパーの交通費や食事代はどうなるの?
ヘルパーの交通費や食事代金など、外出に係る費用についての自治体の関与はありません。
制度で決められていないということは、実際どうやっているのかな?
実際は、事業所と利用者の話し合いによって決められるんだ。
話し合いといっても、事業所側で決める場合が多いです。
トラブルを未然に防ぐためにも事業所で決めるのがいいね。
その際、取り決めた内容は重要事項説明書に記載するのが一般的です。
ちなみに、筆者の勤務先では交通費や遊び代(カラオケや映画等)は利用者の支払い、飲食は各自の支払いとしています。
交通費については障害者割引を利用すれば、利用者と介助者合わせて一人分の運賃になるので合理的です。
公共交通機関の障害者割引についてはコチラを参考にしてください。
最近ではICカード(Suicaなど)で割引の支払いができる駅もあるようです。
よくある質問まとめ
今回は、障害のある方への介護のよくある質問をQ&Aで紹介しました。
簡単にまとめます。
障害のある方への介護の仕事をしていると、この他にもたくさんの疑問が生じます。
うやむやにせずに、事業所に持ち帰ってしっかりと相談することが大切です。
何より大切なのは、
「できません」と断るのではなく、「どうしたらできるか?」を一緒に考えることです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
では、また!
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